国内造船業を取り巻く環境は厳しく、各社が採算悪化を食い止めるための施策を強化している。JFEホールディングスとIHIは傘下の造船子会社が1月に合併し、合併後3年で100億円のコストを圧縮する。三菱重工業は、インドの機械大手に造船技術を供与。今後、数年内に資本参加することで海外展開の強化を狙う。
川重、国内造船を縮小 - 坂出工場の人員2割を他部門に配置転換
川崎重工業は、不振が続く国内造船事業を縮小する。中国・韓国メーカーとの競争激化で受注が激減しているうえ、海運不況を受けた船価下落と円高で造船事業が営業赤字に陥るなか、採算改善を急ぐ。
国内主力生産拠点の坂出工場(香川県坂出市)の従業員の約2割に当たる180人を、3年以内に国内他工場や、ブラジルの造船合弁会社に振り向ける。
対象となる180人のうち、80人は、平成25年度内にタービン機器や航空機向け部品などを生産する神戸工場(神戸市)や名古屋工場(愛知県弥富市)などに配置転換。残りの100人は今年、川崎重工が30%を出資したブラジル造船会社に27年度までに派遣する。
川崎重工が23年に国内で生産した船は84万㌦超と、ピークの18年から3割弱も縮小した。中国や韓国メーカーの攻勢で受注が激減しているためで、同社の造船事業の営業損益は25年3月期で20億円の赤字(前期は39億円の黒字)に陥る見通しだ。
今後は、中国メーカーに比べ生産コストが2割高い坂出工場の生産を付加価値の高い液化天然ガス(LNG)船に特化する。
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